本:ウィタカー『心の病の「流行」と精神科治療の真実』

 

心の病の「流行」と精神科治療薬の真実

心の病の「流行」と精神科治療薬の真実

  • 作者: ロバート・ウィタカー,小野善郎,門脇陽子,森田由美
  • 出版社/メーカー: 福村出版
  • 発売日: 2012/09/19
  • メディア: 単行本
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 ウィタカーは、アメリカにおける精神科治療薬にかかわる様々な利害相反を綿密に調査しながら、薬物療法精神疾患治療へいかに悪影響を及ぼしてきたかを指摘する。

なるほど、統計的データに裏づけられた薬物療法の負の影響は、それなりに説得力のあるものだ。

しかしながら、薬物療法に頼らざるを得ないような社会的状況などについても十分な考察が必要であり、そこで過剰な薬物療法への批判と適切な薬物療法への評価を明確にしていくことこそが重要だと思う。

ウィタカーのしていることは、単なる「反薬物療法」でしかないような気もする。

オープンダイアローグをそのオルタナティブとして掲げても、社会的な条件と実際に治療の対象となる人々の個別化されたコンテクストを無視してしまうことも問題含みなところがあるのではないか。